無意識の性質(1-3)

フロイトは「夢」を無意識を探るための王道だとみなした。夢の性質を観察すれば、無意識がどんなものかが、はっきりするというのである。夢についての考え方には、レルミットも指摘しているように、二つの流れがある。

第一は、夢はバラバラなもので、意味のないものという考えであり第二は、夢は一見、無意味のようだが、夢の構造を明らかにすれば意味がわかるという説である。

私は「夢」のうちで、この二つの立場を総合すべきものと主張したが、第二の立場がフロイトによって代表されていることはいうまでもない。

夢を分析して無意識の特性を検討すると、まず非論理性、非言語性、非道徳性を認めることができる。無意識の世界は、まず非論理的である。つぎつぎに出てくる像が時間や空間のワク(カテゴリー)に入れて整頓されていない。「AはAであって非Aでない」というような公理も、夢では通用しない。

カテゴリーが存在しない。夢では何もかも同時に生じ、Aの場所がいつの間にかBの場所でもある。フロイトはその非論理的な性質として、圧縮、転位、象徴化という現象を指摘した。これらは、「夢」で詳しく語ったから、ここでは、簡単に触れるにとどめよう。

夢のなかで二つまたはそれ以上のものが一緒になることがある。ヌエやスフィンクスのような場合もあるが、夢の原因をなす多くの願望が一つのものに結合して現われることがある。これが圧縮である。